学校のiPadを紛失してしまった場合の対処法

公開日:2022/11/28
最終更新日:2023/10/05

もしも学校で導入したiPadを児童生徒が紛失してしまったとき、どのように対応すればよいか事前に想定できていますか?

前回のChromebookにつづき、今回のコラムではiPadを紛失してしまった場合の対処法をお届けします。

紛失モードとは?

まずiPadやiPhoneなどのAppleデバイスには、「探す」という機能が搭載されています。
事前にデバイスで「探す」を設定しておくことで、iCloud.comや「探す」Appで端末の位置情報を確認できるようになります。

さらに「探す」では、「紛失モード」というサービスも提供しており、これはその名の通りAppleデバイスを紛失してしまった際に利用する機能です。
この紛失モードを有効にすることで、デバイスはロックされ、位置情報の追跡に加え、ロック画面に返却先の電話番号やカスタムメッセージを表示させることも可能になります。

学校のiPadを紛失モードにするには?

前述のとおり、Appleデバイスには、「紛失モード」という端末の紛失に備えた機能が標準で備わっています。学校のiPadを紛失してしまった場合にも、この紛失モードを使わない手はありません。

しかしながら、iCloud.comや「探す」AppでiPadを紛失モードにするには、個人のApple IDが必要であり、Apple School Manager上で作成された管理対象Apple IDでは利用できない仕様になっています。

それでは、学校で管理しているiPadを紛失モードにするには、どうすればよいのでしょうか。

学校管理下のiPadを紛失モードにする場合、iCloud.comや「探す」Appの代わりに、デバイスの管理に利用しているMDM(Mobile Device Management)を使って紛失モードに切り替えます。

デバイスの要件

MDMを使って紛失モードにするには、対象のデバイスで以下の条件を満たしている必要があります。

 ・インターネットに接続されていること

 ・iOS 9.3 以降であること

 ・監視対象であること

「監視対象」とは、iPadなどのAppleデバイスを細かく制御できるようにするモードのことで、Apple Configurator 2やADE(Automated Device Enrollment)を利用することにより、デバイスを監視対象にすることができます。
なお、監視対象にされているデバイスは、[設定]アプリの画面に監視についてのメッセージが表示されます。

MDMでデバイスの紛失モードを有効にする

それでは、実際にMDMで管理下のiPadを紛失モードに変更する手順を見ていきましょう。
ここではMDMにJamf Proを使用した場合を例にしてご説明していきたいと思います。

1.Jamf Proにログインし、[デバイス]⇒[インベントリ検索]から対象デバイスの管理画面を開きます。

2.[管理]⇒[管理コマンド]にて、[紛失モードを有効にする]をクリックします。

3.ロック画面に表示するメッセージなどを入力し、[紛失モードを有効にする]をクリックしてください。

※[常に紛失モードを実行]
⇒有効にすると、Jamf Proでのみ紛失モードを無効にすることができます。

※[紛失モードサウンド]
⇒有効にすると、紛失したデバイスから音が流れます。

4.以上で指定のデバイスが紛失モードに設定されました。

これ以降、管理者がMDMで紛失モードを無効にするまで、デバイスのロックを解除することが出来なくなります。

MDMでデバイスの位置情報を確認する

つづいて、紛失モードにしたiPadの位置情報を調べる方法をご紹介します。

1.Jamf Proにログインし、[デバイス]⇒[インベントリ検索]から対象デバイスの管理画面を開きます。

2.[インベントリ]⇒[セキュリティ]にて、[おおよその位置]に表示された座標をクリックします。

3.地図上にデバイスの所在地がマークされた状態で表示されます。

MDMでデバイスの紛失モードを無効にする

無事にiPadが見つかったら、MDMで紛失モードを解除しましょう。

1.Jamf Proにログインし、[デバイス]⇒[インベントリ検索]から対象デバイスの管理画面を開きます。

2.[管理]⇒[管理コマンド]にて、[紛失モードを無効にする]をクリックします。

3.以上で紛失モードが無効化されました。

対象iPadのロック画面のメッセージが変わり、ユーザーがiPadを利用できるようになります。

まとめ

iPadには様々なデータが含まれています。
もしもiPadを紛失してしまった場合は、直ちに紛失モードを有効にしてデバイスをロックし、第三者が使用できないようにしましょう。

また、AppleのADE(Automated Device Enrollment)を活用すれば、万が一iPadが初期化されてしまったとしても、初期アクティベーション時に自動的にMDMに再登録されます。
この機能により、悪意あるユーザーがiPadを初期化しても自由に使うことは出来ず、管理者はMDM経由で再度紛失モードを有効化させることも可能になります。

本コラムでは例としてMDMにJamf Proを使用しましたが、他のMDM製品でも同様に紛失モードにすることが出来ます。
iPadがなくなってしまった時に慌てないためにも、この機会にご利用のMDM製品で紛失モードにする手順を確認してみてはいかがでしょうか。

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