学習管理システム「LMS」とオンライン授業に便利な「Moodle(ムードル)」とは

公開日:2021/03/26
最終更新日:2021/04/02

教育現場のIT化の重要なポイントの1つがオンライン授業(eラーニング)です。eラーニングを適切に導入できれば、CDやDVDなどを利用した従来の遠隔かつ映像を用いた授業よりも、より低コストで円滑な授業を実現することができます。
その運用を後押しする学習管理システムが「LMS」であり、LMSの一種でオープンソースなのが「Moodle(ムードル)」です。それぞれの概要や詳細について解説します。

LMSとは

LMS(Learning Management System)の略語で「学習管理システム」と訳します。eラーニングを配信するためのプラットフォームであり、活用することで企業研修や学校の授業などの大人数の受講生がより簡単にインターネットを介して授業や試験などを受けられるほか、それぞれの成果や結果などを管理しやすくなります。

LMSが普及する前のeラーニングでは、主にCDやDVDとパソコンを使った学習が行われていました。つまり、講義や授業を行う側は物理的にCDやDVDを受講者に配布する必要があったのです。そのため、配布のための費用、時間的なコストの増大のほか、学習の進捗や理解度などを管理することが全くできないという課題を抱えていました。

このような課題を、ネットワークを使うことで解決したのがLMSです。前述のとおりLMSは管理者と学習者の両方が利用するプラットフォームであり、eラーニングに適した機能が搭載されています。これらの機能を使いながら情報をやりとりすることで、低コストで学習を管理しやすい環境の構築を図ります。

LMSの役割1:生徒と教材管理

教材を配布する生徒の登録や公開などを簡単に行えるのがLMSの特長の1つです。具体的には、生徒をクラスやゼミごとにグループ分けして登録したり、教材をLMSで公開する時期を指定したりできます。また、テストの成績や習熟度によって次回に配布する教材を設定することもできます。

LMSの役割2:学習進捗の管理

LMSは学習者の成績や配布した教材、進捗状況などのデータを蓄積、管理できます。これらのデータを使えば簡単に生徒ごとのレポートを作成できるほか、得意・苦手科目なども把握してより良い授業計画などにつなげられます。

LMSのメリット

LMSを導入することで、生徒は学習範囲や利用すべき教材がページ単位で把握できます。このことから、効率的な学びを実践しやすいほか、試験結果、学習進捗なども定量的かつ分かりやすく理解できるので、苦手な科目の克服などにも役立てられるでしょう。
教員としては添削の工数が減らせることや生徒の情報を把握しやすい点から、個別指導や学習指導もより的確な助言をしやすくなります。

Moodle(ムードル)とは

LMSには多くの製品やサービスがあります。Moodleはその代表的なサービスの1つで、個人向けの学習環境に秀でた機能を持つ学習管理システムです。
ソースコードなどの再利用や使用などが広く認められているオープンソースのシステムで、開発の中心はオーストラリアのマーチン氏が担っています。公式サイトによると9000万人のユーザーが登録。世界中で広く活用されており、マイクロソフトやニューヨーク州大学など名だたる大企業や教育機関でもeラーニングに使われています。

Moodle(ムードル)の機能と特長

Moodleには、管理者、教員、学生の3つの権限があり、利用できる機能や活用できる範囲・画面表示が異なります。特長的な機能には「小テスト」があり、選択式、記述式、穴埋め式、組み合わせなど様々な形式の問題をシステム上で作成可能。さらに回答者の習熟度に合わせてヒントなども設定できます。

さらに「フォーラム」という掲示板機能では、生徒の書き込みに対して教員が評価できたり、書き込みの内容をメールに添付して配信したりできるなど、議論を活発にする仕組みが備わっています。「評定」という成績管理機能は、小テスト、フォーラム、課題などの成績が自動的にまとめられています。項目を自由に加えられるので、収集された数値をもとにより複雑な指標なども同じ画面で求めることも可能です。

標準機能でも効果大ではあるものの、Moodleの最大の魅力はオープンソースのプラットフォームでることを活かした「拡張性」です。世界中で開発されたプラグインなどが公開されているので、教育現場の環境や課題に合わせたものを導入することができます。

コストパフォーマンスに優れたMoodleの導入を検討してみよう

eラーニングの効率化に欠かせないLMSとその一種であるMoodleについて解説しました。Moodleは無料で利用できます。そのため上手に運用すれば、非常に優れたコストパフォーマンスを発揮します。その一方、導入や運用におけるサポート面が充実しているわけではありません。IT担当者や教員のスキルなどが問われることも多いので、自ら知識を習得するか、信頼できるベンダーに相談することをおすすめします。


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