2019年に文部科学省が発表した「GIGAスクール構想」は、教育の現場を大きく変えるとして業界内外から注目を集めています。現在、少しずつではあるものの、GIGAスクール構想に対応した取り組みを始める自治体や学校も増えていて、「私たちも何かやらなければ!」と焦っている教育ICT担当者は多いのではないでしょうか?
そのような人たちは、まず、GIGAスクール構想の中心である「校内の高速ネットワーク環境」について理解を深めてみてください。自分たちの学校が何をすべきか、考えるための足がかりになるはずです。
GIGAスクール構想における校内ネットワークの整備とは
文部科学省が作成した「GIGAスクール構想の実現パッケージ」では、GIGAスクール構想は校内LANにおける高速ネットワーク環境の整備が、重要なポイントとして挙げられています。どのようなLANを整備すべきなのでしょうか?
その基本的な4つのポイントを以下でピックアップしました。
校内LAN整備の標準仕様
・工事が必要となるケーブルは「カテゴリーA6」以上
・ハブ、ルータ、スイッチは1Gbpsの普及モデル
・クラウド活用のほか、大容量の動画視聴、オンラインテストをスムーズに行える
・WiFiのほか、LTEの整備も選択肢の一つ
ICT担当者とはいっても、知識量は人それぞれですよね。少し難しい用語が出てきたかと思います。まずは上記の仕様のうち、「カテゴリーA6」について解説しましょう。
校内ネットワーク用語:カテゴリーA6
普段、何気なく接続している「LANケーブル」はカテゴリー(種類)によって通信速度・伝送帯域が異なります。CAT5~CAT8まで分類され、数字が大きくなるほど通信速度が速くなります。A6(CAT6)はちょうど規格の中心程度の性能で、通信速度は10G、伝送帯域は500Mとなります。GIGAスクール構想における、「クラウド活用などスムーズに行う」条件として、最低A6性能を確保すべきと文部科学省が推奨していると覚えておきましょう。
※文部科学省「GIGAスクール構想の実現パッケージ」
https://www.mext.go.jp/content/20200219-mxt_jogai02-000003278_401.pdf
校内ネットワークの仕組み
GIGAスクール構想の校内ネットワークの高速化のポイントの次は、基本的な校内ネットワークの仕組みについて紹介します。どのようにLANケーブルが各機器に配線されているのか、確認してみましょう。
■校舎2棟、体育館、校庭のレイアウト例
分類 | 名称 | 機能 | 設置台数 |
OA系サーバ | メールサーバ | インターネットを 使った送受信 | 学校ごとに1台 |
OA系サーバ | ファイルサーバ | ファイルの共有化 | 学校ごとに数台 |
OA系サーバ | プリントサーバ | プリンタの共有化 | プリンタに設置 |
LAN系サーバ | プロキシ | レスポンスの改善 | 学校ごとに1台 |
LAN機器 | ルータ | WANとLANの接続 制御・およびファイ ヤーウォール機能 | 学校ごとに1台 |
LAN機器 | センタスイッチング HUB | 幹線LAN用、 Gbイーサ×16 | 建屋につき1台 |
LAN機器 | フロアスイッチング HUB | 支線LAN用、 Gbイーサ×1100 Mイーサ 24 | 各階、職員室 |
LAN機器 | 無線LAN基地局 | ノートPCなどを 無線で収容 | PC20台に1台 |
セキュリティサーバ | アドレス管理サーバ | IPアドレスやMAC アドレスの管理 | 学校ごとに2台 |
セキュリティサーバ | VPNサーバ | データの暗号化 | 学校ごとに1台 |
上の表は、あくまで参考ですが、目的・機能によって異なるサーバや機器が使われていて、設置台数も「学校」、「建物」、「階数」、「機器」を基準に異なることに気付いたでしょうか?
このようにGIGAスクール構想では、学校の規模や校種、PCの利用頻度や管理のしやすさなどを考慮して、最適な構築をする必要があるのです。
とはいっても、ICT担当者がすべての配線を考えるわけではありません。一般的にネットワーク構築の業者がレイアウトなどを考案するので、ICT担当者はその意味や機器の役割、効率的である理由などを理解できる程度に知識を深めておきましょう。
校内ネットワークにおける有線と無線
ネットワークの回線にはケーブルをつなぐ「有線方式」と、配線が必要ない「無線方式」があることは、みなさんご存じだと思います。高速・安定性が求められる場合、有線方式が採用されるのが一般的です。一方、校庭・体育館のように1~2台のPCを持ち込み、プロジェクターなどで映像を流す場合、無線方式の方がメリットが大きいです。有線方式と無線方式では、セキュリティ対策や通信品質などが異なり、それぞれに応じた対策をする必要があります。GIGAスクール構想において、有線と無線は必ず耳にする言葉なのでそれぞれについて、ICT担当者は理解を深めておきましょう。
※出典:文部科学省「校内ネットワーク活用ガイドブック」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/kounai/pdf/kounai2.pdf
GIGAスクール構想に備えて、校内ネットワークの知識を深めよう
GIGAスクール構想において、校内ネットワークの整備は切っても切れない関係です。今回、紹介した校内ネットワークの仕組みは、自治体・学校のICT担当者が知っておくべき知識のほんの一部にしか過ぎません。これからも「Edu at Mitani」では、GIGAスクール構想の取り組みに欠かせない情報を発信していくので、校内ネットワークに関わる知識を深めてください。
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