【iPad導入事例】iPad導入でペーパーレス化を進めながら、生徒の世界を大きく広げる

開智中学・高等学校様

関東に複数の学校を持つ、開智学園。なかでも埼玉県にある開智中学・高等学校は中高一貫校として、ICTを活用した教育に取り組んでいます。今回は学校でのiPad活用について、中沢先生と白川先生にお話を伺いました。

iPadを導入して生徒たちの世界を広げる

御校は、ICT活用が学校の特色の一つですね。

はい、本校ではより質の高い指導を実現するため、ICTを活用した学習環境の整備を進めていました。4年ほど前からある程度の環境が整い、生徒全員とほぼすべての教員が一人一台ずつiPadを持っています。

iPadを導入したきっかけは、文部科学省が発表したeポートフォリオです。これに対応するため、生徒にそれぞれの学習や活動の記録などをiPadで保存してもらおうと思いました。

ノートパソコンや他のタブレットなど様々な選択肢がある中で、なぜiPadを選びましたか?

理事長付
中沢 千洋 氏

学内を大規模工事してWi-Fi環境を整備できることになったので、Wi-Fi環境で動作するiPad、Androidのタブレット、Windowsのノートパソコン、Chrombookの4つを比較検討しました。

その結果、iPadが手軽さやセキュリティ、コストなどのバランスに優れているという結論に達しました。
それに加えて電池の持ちもよかったので、iPadの導入を決定し、三谷商事にお願いすることにしました。

iPadの導入によりどんな効果を望んでいましたか?

eポートフォリオの対応と、生徒への連絡効率向上です。また、ペーパーレス化も進められると考えました。eポートフォリオは残念ながら中止が発表されましたが、他の2つについては実現できています。

また、iPadを使うことで教育の幅が広がるだろうと思いました。色々な理由から、導入に反対される方もいらっしゃいます。しかし使ってみれば今まで知らなかった世界が広がるだろうと思い、導入に踏み切りました。

iPad導入にあたって先生方への研修は行いましたか?

はい、行いました。開智学園は関東に複数の学校があり、毎年、各学校が持ち回りで勉強会を開いています。その幹事校となったタイミングで、他の学校の先生に教えながら自分たちもスキルアップしようと色々な勉強をしました。

勉強会の開催される前年から準備委員会を作り、月に一回集まってGoogle ClassroomやGoogleフォームの使い方などを学びました。その後も動画研修をして、iMovieで動画編集もしました。人によってスキルの差はありますが、今では年配の先生でも無理なく操作できています。

iPad導入に関して、保護者の方からの反応はいかがでしたか?

やはり初めは、「授業範囲外で何に使うか心配」「大変なことに巻き込まれるのでは」といったような声が上がりました。しかし保護者説明会を開いて細かなところもご説明して、最後は「今はもう、デジタルデバイスを持つのが当たり前だ」という認識になりました。

授業だけでなく幅広いシーンでiPadを活用

生徒さんはiPadを一人一台お持ちとのことですが、どのように利用されていますか?

まず、Google Classroomを使って課題の配布・回収を行っています。授業中、生徒たちの意見を集約するのにも使っています。授業の諸連絡も、Google Classroomを通じて一斉に通知する形です。

授業だけにとどまらず、HRや部活動、委員会活動の連絡もGoogle Classroomを介して行っています。また、長期休暇中も登校日についての連絡をすることがあります。Google Classroom以外では、ロイロノートがよく使うアプリです。

受験勉強でもiPadを使っていらっしゃいますか?

はい、スタディサプリの動画教材を受験勉強に活かしています。また、ポートフォリオをためているので、それを見ながら志望理由書を書くこともあります。

生徒さんだけでなく、先生方もiPadの活用で何か変わりましたか?

会議資料をデータで共有して各教員がiPadで参照するようになったので、紙の使用量が2割も減りました。また、いつでもどこでもデータ共有ができるようになったことで、集まる必要がなくなり、毎朝のミーティングもなくなりました。連絡事項をWeb上で事前に書いておき、定時に見るだけなので、業務をかなり効率化できています。

生徒の学びを止めないためオンライン授業を実施

御校のコロナ過への対応について教えてください。

2月26日の会見をニュースで見て、突然のことに驚きながらも3月2日から休校しました。先生方にはそれぞれ課題を出すようにしてもらい、オンライン授業の可能性についても検討を開始。受験学年を控えた高校2年生の生徒たちにはZoomでオンライン授業をし、他の学年はGoogle classroomで連絡をしました。

iPadを使って、オンラインでのコミュニケーションをとられていたのですね。

はい。ただiPadを持っていない学年もあったので、その生徒たちには学校のHPに設置してある保護者ページや、G Suiteなどを使って連絡などしました。

4月になってからは、このまま休校が長引くと可能性があるということで本格的にオンライン授業の準備を進めました。4月1~2週目で体制を整え、3週目からオンラインを開始。生徒に負担がかかりすぎないように自習時間も適宜入れつつ、毎日何かしらの授業を受けられる形になりました。

具体的にどのようなオンライン授業をされたのですか?

授業によって様々です。例えば一つの授業に対し教員が2人待機して、一人はライブで授業を行い、一人は質問対応をするという形もありました。

動画を事前に作って流す場合は、編集が大変なので複数のクラスで一つの動画を利用しました。科目によっていろいろと工夫して、例えば理科の授業では実際に実験をして、その様子を生徒に見せました。

教員の負担を最小化することが導入成功の秘訣

オンライン授業をされてみて、何かメリットは感じましたか?

教諭
白川 直人 氏

今までは授業中にあまり発言できなかった生徒が、オンラインなら積極的に意見を書き込んでくれるようになりました。やはり教室で手を挙げて、全員の視線を浴びながら発言するというのはかなり勇気がいるものです。

しかしオンライン授業ならみんなの時間を止めることなく自分のタイミングで書き込めるので、ハードルが下がったようでした。

また、今やiPadがあるのが当たり前で、ペーパーレスが普通に思えるようになりました。情報がデータに残るので、連絡の確実性も高まっています。やはり対面が一番ですが、それを補完するものとしてiPadというデジタルデバイスを持っているのは大きいと実感しました。

一方で、iPadを使う上での課題は何かありますか?

何でもデータに残せる分、情報過多に陥りやすいです。だから、発信する側も受信する側も、どの情報が必要なのか整理する必要があります。

これからiPadを導入される学校へアドバイスをお願いします。

iPadを導入して、いきなり完全に使いこなすことは不可能です。落ち着くまでに5年はかかると思います。逆に言えば、その間だけ頑張ればそこからは安定します。

iPadの管理によって教員の業務の総量が増えるのは本末転倒です。
導入するときのコツは、できる限りiPadまわりの管理を外注することです。教員が間に入る事柄が増えれば増える分だけ、負担が大きくなります。何でも抱え込まないようにして、業者さんの力も借りながら進めることが大切です。

開智中学・高等学校

所在地:埼玉県さいたま市岩槻区徳力186
TEL: 048-795-0777
https://www.kaichigakuen.ed.jp/tyuukouikkannbu/
設立1983年

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