【Chromebook活用事例】学校にあまり来られなかった生徒が積極的に授業に参加

東洋大学附属牛久中学校・高等学校様

中等部・高等部でChromebookを導入されている、東洋大学附属牛久中学校・高等学校様。 どんな経緯から導入し、日々の指導の中でいかに活用しているのか、今回は鈴木教頭先生、徳竹先生、小池先生にお話を伺いました。

より正確な生徒評価と情報のデータベース化を実現

Chromebookを導入した経緯について教えてください。

教頭
鈴木 信一 氏

2015年に中学校を開校した際、ICTを活用した教育を実現したいと考えました。そこでまずiPadを導入したのですが、使用するうちにキーボードの重要性を感じ始めたのです。

iPadは情報を消費する端末としては優秀ですが、生徒が能動的に何かを創り出すのには不向きでした。例えば課題研究の結果をプレゼンするのにはいいのですが、そのスライドを作るのにiPadだと時間がかかってしまうんです。

そこでキーボードが使えるデバイスを探し始めたことが、Chromebook導入のきっかけでした。決め手となったのは、他のノートパソコンなどに比べて管理コンソールが優れていて、生徒情報を一括管理しやすいこと。またサーバーを置かなくてよいというメリットがありますし、他のハイスペックデバイスと比較して導入コストが抑えられるのも魅力でした。

Chromebookを実際に導入してみて、いかがでしたか?

iPadよりもバッテリーが長持ちしますし、デバイス自体も劣化しにくいです。データ移行も非常にスムーズですし、一台ずつパスコードを解除してバージョンアップしたり、アプリをインストールしたりといった作業も必要もありません。

Chromebookを活用してみて感じたメリットを教えてください。

メリットは、生徒評価の正確性が増すことです。これまでは教員の主観に頼っていたのですが、デジタルデバイスに記録を残すことで細かなデータがすべて確認できるようになり、より客観的事実に基づいた評価をすることができるようになりました。

そうして蓄積した情報はデータベースとして本校の財産になります。例えば新任の教員が受け持つ生徒の情報を一括で閲覧したり、これまで生徒たちが受けてきたテストを見て参考にするといった活用法が考えられます。こうした積み重ねによって、教育の質を上げていきたいです。

高等学校 教諭
徳竹 圭太郎 氏

そうしたメリットがある一方で、デメリットはありましたか?

特に中学校では、保護者の方からの問い合わせがありました。「Chromebookで一体何ができるのか」ということから、「デジタルデバイスを導入することで生活習慣が乱れやすくなるのではないか」という懸念まで、内容は様々です。

Chromebookを導入するにあたり、研修などはされましたか?

はい、Chromebookで何ができるかを把握していない教員もいたので、基本的な部分から研修しました。研修内容には、操作方法やITリテラシーなど、一般的な項目も含みます。またわからないことが起きたときのために窓口を作り、そこで質問を受け付けました。

生徒さんへの研修についてはいかがですか?

今年はコロナ禍のため研修などできませんでした。そこで中学校の新入生についてはまずChromebookに必要なアプリをインストールしてもらい、郵送でアカウントを配ってログインしてもらいました。高校ではやり方をまとめた説明動画をYouTubeで配信し、それを見てセットアップするという流れです。

新中一生もそうした対応で活用できるようになったんですね。

中学校 教諭
小池 利明 氏

はい、ただ実際に授業を始めたのは5月からです。その前はGoogle Classroomの使い方をマスターしてもらうために、メッセージを書き込む練習や、写真を撮って送る練習をしました。授業ではZoomを使うので、ログインの仕方やミュートの仕方もあわせて教えました。

それでも理解できない生徒はいるので、そういう場合は電話をかけてフォローします。そうやって少しずつ慣れてもらうことで生活の中に根付かせ、今では一日の予定を連絡したりオンラインでコミュニケーションが取れるようになりました。

これまで受動的だった生徒が能動的に授業に参加するように

Chromebookの具体的な活用方法について教えてください。

コロナ禍では特に、授業からホームルームまで広く活用していました。まず朝はZoomに集合して、出欠を取ります。そこから各部屋に分かれて、授業を受けるという流れです。授業の方法は、英語では英語の音声や曲を流したり、数学では通常授業のように黒板に板書きしていったりなど様々です。

高校では授業内容を動画編集してまとめて、授業中はそれについて話し合いをさせるという形でもやっています。普段と同じ授業をするというより、オンラインならではの新しいスタイルを確立しました。

Chromebookを使ったオンライン授業では、普段の教室ではあまり発言しない生徒も意見や感想をよく入力してくれます。さらに学校にあまり来なくなってしまった生徒も、登校というハードルがなくなったことによってオンライン授業なら参加できました。

宿題やテスト、提出物もオンラインで行っていますか?

はい。その生まれた余裕は、各先生の担当教科の充実に活かされています。日々中学ではGoogle フォームの採点機能を使って、テストなど行っています。ノート提出は写真に撮ってGoogle Classroomにあげてもらい、コメント機能を使って確認しています。

高校ではGoogle ドキュメントとGoogleスプレッドシートで宿題を配布して、教員はそこにコメントしていくという形で運用しています。

授業や提出物対応以外に、Chromebookを使ってやっていきたいことはありますか?

最近はZoomを使う学校も増えているので、他校と連携した英語のディベート大会や、授業見学などがしたいです。実際に足を運ぶ必要がなくなるので、地理的制約に縛られず可能性が広がります。

また、毎年インフルエンザにかかる生徒がいますが、罹患すると一定日数は出席停止となります。しかし実際は、数日で熱が下がりほぼ回復していることが多いのです。そこで出席停止中も、体力が回復していれば自宅から授業に参加できるのではないかと考えています。

この他にも長期休暇中の登校をオンラインにしたり、夏期講習・冬期講習を自宅から受講できるようにするなど検討中です。

場所にとらわれなくなることで教育の可能性が広がる

教育現場でChromebookを導入するメリットは何だと思いますか?

Chromebookを介することにより生まれる匿名性は、生徒にとって魅力的です。といまずコロナ禍のオンライン授業において、カメラが付いてるのは大きなメリットでした。Zoomで顔を映すことで、生徒の状況がよく見えます。また、提出物の管理も非常に楽になりました。これまでは職員室のホワイトボードにいちいち書き込んでいたのですが、今やオンラインで一目でわかります。

また、生徒たちに「アプリは壊れないから、好きなように使ってごらん」と言うと安心するようで、探究心を持って色々と工夫して使ってくれています。

また、ChromebookではGoogleのアプリを使うので基本的に編集履歴が残ります。だから間違えて消してしまっても簡単に元に戻せることもメリットです。それから、場所にとらわれないというのもポイントです。

場所にとらわれないとはどういうことですか?

例えば生徒がChromebookを忘れてしまっても、予備機を貸し出して自分のアカウントでログインできます。今まではノートやプリントを忘れたら提出できませんでしたが、どこにいようとログインさえすれば提出が可能です。

また、本校では教室が少ないという理由で選択科目に制約がありました。受験に特化した講座など計画していたものの、場所の確保が難しかったのです。しかし動画を配信して自宅からChromebookで見てもらうという方法があると気づかされ、大いに期待しています。

これからChromebookを導入しようと考えている学校へアドバイスをお願いします。

初めから完璧に使いこなそうとせず、ハードルを下げた状態で初めるといいと思います。本校でも休校期間を利用して少しずつ教員をレベルを上げていきました。また、使い方がわからなくなった先生がすぐに質問できるように、なんでも聞ける雰囲気作りも大切です。問い合わせを受けたら笑顔で対応していくとよいと思います。

東洋大学附属牛久中学校・高等学校

所在地:茨城県牛久市柏田町1360-2
TEL: 029-872-0350
https://www.toyo.ac.jp/ja-JP/ushiku/
設立1964年

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